メモの書かせ方

新年から若干憂鬱でした

新年あけましておめでとうございます。

今年に入ってから、新人教育をしています。
大炎上しているプロジェクトに参加してもらってのOJTなので、かなり難しい、と言うか、時間が取れないのですが。
とりあえず、おおまかなルールを決め、そこからその新人がどういう気づきを得られるか、をこちらがどこまでコントロールできるか、という部分に勝負を賭けることにしました。

ということで、メモの取り方を、OJTナイズ*1してみようかなぁ、ということで、今回はそのお話。

そもそもメモは頭の整理ツールでしかない

最初のポイントとして、仕事をする上で、「相手にメモをさせる」のは非常にリスキーだと言うことは、話し手としては意識する必要があります。
特に経験が足りない人のメモって「あとから読み返して意味がわからない」ものになりやすいですし。
話し手が伝えたいことと、聞き手が知りたいことの間にズレがあるとメモは一瞬で意味不明なものになります。
ですから、本来は伝えたいことはちゃんと文書や資料にまとめて、自分が伝えたいことを可視化した資料を用いることが良いでしょう。*2

とは言っても、大体資料には穴がありますし、そもそもただ話を聞いているだけでは暇で暇で死にそうなので、話を聞く側はなんだかんだメモを取ってるワケですね。
学生の頃、教科書やレジュメに書き込みを加えたのと同じですね。
ってことで、二つ目のポイントとして、話し手の意志にかかわらず、メモというものは「相手の伝えたい情報を把握」することと同時に「相手が伝えたい情報を自分なりに理解する」ためのツールとしては欠かせないモノとして、聞き手は利用するわけです。

ということで、メモをさせるポイントは、こんなところでしょうか。

  1. メモさせる情報は話し手側が意図的に絞る
  2. メモには「相手の伝えたい情報は何か」「自分の理解はどうか」の二つを分けて記載させる
メモさせる情報は話し手側が意図的に絞る

何でもかんでもメモをさせると情報の伝達に齟齬が発生するのは、相手が新人でもベテランでも同じなので、ここで正確なメモとは何か、みたいな話をしても迷走してしまいます。
大体先輩から後輩にする説教なんていうものは「ある程度は正しい」ので、聞いている側(後輩)からすれば、「なるほどなるほど」って思っちゃう部分も多いんですよ。
そんなものを逐一メモさせても何にもならないんです。
説教なんて先輩の自己満足である部分が大きいわけで、仮にメモさせるとすれば、その情報は二行か三行程度にしかなりません。

ということで、メモさせたい話は「メモして下さい」と事前に伝えることと、そのための深沢の話専用メモノートを渡すことにしました。

メモには「相手の伝えたい情報は何か」「自分の理解はどうか」の二つを分けて記載させる

メモは「相手の伝えたい情報を把握」してそれを「自分なりに理解する」ための橋渡しとなるツールです。
書くことで頭を整理するんですね。

なので、この二つを意図的に分けて書かせるようにしました。
簡単に言うと、「メモを清書する」ステップを追加させたんですね。
基本的にメモは清書するものではない、と私は考えているのですが、頭の中を適切に整理できないうちは、清書させても良いかなぁ、と思っています。

上の話ともリンクしますが、話を聞いている時、特にこちらが意識的に自信ありげに話せば、相手には「それなりの説得力」を持って伝わります。
ところが、いざ後から考えなおして(=頭を整理して)みると、「あれ? なんかおかしいな」って気づくんですよ。
メモを取る、情報を整理する上でとても大切なのは、この「あれ? なんかおかしい」って言う違和感を言語化する作業なんです。

なので、「自分の理解はどうなったか?」を最後に足すことが大切なんですね。

メモを取る時は4フィールドに分けて使う

上記二つのメモにおけるポイントを元に、深沢の話専用メモノートの書き方を色々考えてみました。

大体、くどくどと長い説教をする人も居ますが、その内容もメモにまとめようとすれば、いわゆる大学ノートの1ページの半分に収まる、というのが私の持論です。
大学ノートの1ページの半分に収まらない内容を一度に伝える場合はメモを取らせることは無駄だと思っています。
1ページの半分、となると、おおよそ5分〜10分くらいでしょうか。それ以上の時間、説明しなければならないのであれば、「こちらがメモを作ってから渡す」か、「後で話をした内容を文書で伝える」方が良いでしょう。
そうしなければ、聞き手は話の内容を覚えきれません。

うことで、メモの使い方が決まってきました。
つまり、「1ページの半分に収まる話」を元に、「2ページ使って頭を整理する」ルールにしよう、って感じ。

基本ルールとして、左ページは「相手の言葉」をまとめるもので、右ページは「自分の言葉」をまとめるものとして、そして上半分は「今」を描くもので下半分は「振り返り」を書くためのものとしました。

左側ページ 上半分: 話の内容をリアルタイムでまとめてみる

まず最初、左側のページの上半分。
話の内容を聞きながら、箇条書きでもなんでも良いので、リアルタイムにまとめてみましょう。
この時、ページ最上部の左端に「日付」を書いておくとなお良いです。

大体うまく行かないのですが、これは「会話後のためのステップ」になるわけです。
とりあえず5分〜10分の内容のうち、最初のうちは頭に残ったキーワードなどを箇条書きにして書くくらいになるかと思いますが、まとめておくことはとても重要です。

左側ページ 下半分: 話を聞いた直後に、上の情報と記憶を頼りに、会話内容をまとめる

次のステップが、「会話内容をまとめる」作業です。会話内容の振り返りですね。
基本的に、メモを取れ、って話に出てくる「メモ」って言うのはこの部分の内容を指していますが、話を聞きながらまとめて主題を理解する、というセンスを磨くために、最初は2ステップに分けることにしました。

まとめている最中に、「あれ? ここはなんて言ってたっけなぁ」とか「ここはよくわからんなぁ」ってところは、適宜「さっきの話でここがわからなかったんですけど」って説明を求めてもらっても構いません。
大切なのは、「さっきの話はどういう内容だったのか?」を半ページで綺麗にまとめること、です。

右側ページ 上半分: メモの内容を元にした気付き、発見、改善案などを記載する

ここからは「自分の言葉」を記載するポイントです。
「会話内容や左側のメモに対して自分が感じたこと」を書くことですね。

「そうは言ってもこの話を実現するのはどう考えても難しすぎる」とか「この考え方は理解できるけど納得したくない」とか、そういうネガティブなものでも良いですし、「明日から実践できそうなのでまずは○○から始めたい」とかでも良いです。
あまり相手に感情を見せすぎるのは良くないのは事実ですが、そのせいか、「感情を抑制して仕事をすることが正しい」と勘違いされてしまっている気がしますが、仕事をする上で、「感情」って言うのはかなり重要なものです。
楽しくない作業はモチベーションが下がるだけですし、楽しい作業であれば結果もより良いものになりやすいわけです。

だからこそ、「感じたこと」をちゃんとメモに残しておくことが重要です。

右側ページ 下半分: 最後の振り返りに使う

右側ページの下半分は、メモを取ってからしばらくした時点、例えば三日後〜翌週などに、「読み返した結果」を書きます。
メモを取らせていて一番感じるのは、メモを取ることで満足している人が多すぎることです。
最初に書いたとおり、メモというものはあくまで頭のなかを整理するツールでしかないため、基本的には「読み返す」作業は不要だと私は考えています。
ところが、それは、メモを取ることがある程度できるようになってからやる応用編に過ぎず、メモをまともに取れないうちは、読み返す作業は必ずやるべきでしょう。

このやり方をやって2週間

今のところ、どういう変化があったか、って部分が見えてこないので、このやり方が果たして成功なのかはわからないのですが。
メモを取る、頭を整理する、って言うのは、仕事柄どうしてもずっと必要なので、OJTのうちに何とか形にできれば良いなぁ、と考えています。

*1:OJTナイズ: OJT向けにアレンジすること、深沢語

*2:自分が主役で話をする場合、メモする間をなるべく与えないようにする、というのが一つのスキルになるのはそういう理由ですね。