他人を褒める練習をしています

他人を褒めるのが苦手です

いろんなコーチングの本とかにも、「相手の良さを見つけてそこを伸ばしてあげよう!」みたいなこと書いてあるじゃないですか。
でも他人の良さを見つけるのって才能と言うか、スキルなんですよね。
その人のことを長く観察していればわかる、とか言われなくても分かってるけれど、それをしっかり見つけて、言語化して、相手に伝えるって、すごい難しいスキルなんですよ。

そもそも私のように小賢しい人間は、「他人の良さを見つける」とか「他人を褒める」のはある程度努力しなければ得られないスキルである、と言うのは本を読むまでもなく気づいているわけです。
更に自分の考えの裏付けとしてコーチングの本を読めば、とにかく「他人を褒める練習」とか「言い換えてみよう!」とかそんなのばっかり書いてあるじゃないですか。

自分がそういうことを気づいているんだから、褒められる側だってそのくらい気づいているはずでなので、他人を褒めると「こうやってお前の良さを見つけられるオレって他人の良いところ見つける天才やろ?」って言う自己顕示に思われるのでは、と感じてしまうわけです。
そこまで行くともうフェイスブックで日夜行われる自虐風自慢みたいなものですよね。

気にしすぎかもしれませんけれど。

そもそも他人を褒める時は「自分ができないことをできることを褒める」か「自分ができていることを褒める」かのいずれかのケースに分類されます。
前者の場合は褒め方一つで変な感じになっちゃうじゃないですか。
例えば私も「お、確かにその部分の考慮漏れてたね。システムテスト前に気づいて良かったわ、ありがとう」って感じで、何か声を挙げてくれたらお礼するようにしているのですが。
「お、(現時点で考慮する範囲外だから考慮してなかったけど)確かにその部分の考慮漏れてたね。(どうせシステムテストで発覚するし修正コストも0.5人日くらいだからどうでも良かったけど)システムテスト前に気づいて良かったわ、ありがとう」って感じで取られてないかなぁ、と、家に帰ってから不安になったりします。

後者の褒め方になるともう更に難しくて。
開発を依頼して、納期通りに上がってきたからとりあえず褒めようと「あ、終わった? 見積工数通りにできてるやん。最近開発も早くなってきてるし、ええ感じやね」って伝えたりしているのです。
で、家に帰ってから一人悶々と「あ、(事前に報告無かったけど)終わった? (オレのアドバイス込みで見積に3時間以上かかってるけど)見積工数通りにできてるやん。(まだまだオレの1.5倍以上工数かかるけど)最近開発も早くなってきてるし、(そもそもオレの足元にも及ばないけど)ええ感じやね」って意味にとられないかなぁ、とかすごい不安になります。

気にしすぎかもしれませんけど。

他人から褒められるのも苦手です

そんな私なので、私は他人から褒められた時も「裏があるんじゃないか」と考えてしまいます。

「君の働きに対してちょっと給与を上げたいと思うから以下略」みたいなことを上司が言ってきた時も、ありがたいと思うのと同時に「給与体系を見直す過程で自分の給与を上げるためには私の給与をあげないと整合性が保てないのかなぁ」とか「なんかついでに責任が重い仕事回すつもりなのかなぁ」とか思ってしまうんですよ。
で、どんなにポーカーフェイスを気取っていても、そういう感情って周囲に伝わってしまうもので、結果的に、なんか微妙な空気になるんですよね。

上司としては「いやいや、深い意味はないよ、ただ褒めてるだけだよ」ってフォローしようとするし、それを言われれば言われるほど「コイツマジで言ってんのか」みたいな感じでどんどん私が不審に思う、みたいな。
そういうのが続くと「あ、コイツ面倒くさい」と思われて、私を褒めることが減っていきますし、褒められる回数が減ると、また次の機会に褒められた時に褒められ慣れていないので「え、この上司は私を試そうとしてるのかな」とか考えてしまうんですね。

特に「自分はこういうことできないから君のそれは重宝するわ」みたいな褒め方をされると、「あ、この仕事ばっかり回す気だな」とかそんなことしか浮かびません。

気にし過ぎかもしれませんけど。

気にしているうちに本来の目的から逸れてしまいました

こうして、褒めることも褒められることも苦手な私は、結果的に他人の評価をマイナスでしか発言できなくなるまでに退化していきました。
諸先輩方から「深沢ってもしかして世の中の人全員嫌いなの?」みたいなことを言われるレベルです。

そもそも、「相手から悪くとられることを気にして相手を褒めない」というスタンスは、矛盾しているじゃないですか。
相手を褒めないってことは相手から悪く思われるんですから。
ですが、「悪く思われたくない」など、「○○されたくない」というネガティブな方向から考えると、当たり前ですが、何も行動てきなくなってしまうんですよね。
そうすると、どんどん本来の目的から逸れていってしまう。

褒めない、ってことは、「自分の行動が相手の人生や考えに何らかの影響を及ぼしたくない」だけに過ぎないんですよね。
私生活の人間関係では別に良いと思います。(そんな人間はいずれ孤立するだけでしょうが、それは自己責任でしょう)
ですが、仕事となれば別ですよね。
上司のミッションは部下を適切に評価することと、部下の評価を高めることの二つです。
そして、評価と言うのは、「現時点のスキル」と「将来性」の掛け算で行われます。
そこまで理解しておきながら、部下の将来性を高めるために行動しない上司って最低じゃないですか?

人を褒める練習をしています

ということで、最近は、意識して他人を褒めるようにしています。
結局、上に書いてあること全て、「別にそう思われても良い」と思うようにしたというか。
おかげで付き合いの長い後輩からは「最近深沢が褒めてくるので気持ち悪い」とか影で言われているのも知っています。ただ、それで良いと思えるようになりました。

今でも褒めることはとても苦手です。
褒めながら、口説き慣れてないのにキャバクラに行って口説いてる映像が常に脳裏によぎって、家に帰って悶々とする日々が続いています。
褒められることは更に苦手です。
褒められるだけでむず痒くなりますし、途中でラリアットしたくなります。もちろん私はスポーツができないのでラリアットはしませんが。

ですが、そんなものはこの際どうでも良いんですよ。
私が誰かを褒めることで、その人やその周囲の人のやる気が向上するなら、そのくらいするべきでしょう。
何かが好転するチャンスが有るなら、それは試す価値があるんです。

と言うことで、最近はかなり意識して他人を褒める練習をしているのでした。
まぁ、その結果どんな感じか、と言うのは、今のところ「気持ち悪い」しか言われてないのですが。