将来なにをしたいです?

面談ってなんかうがった見方をされるなぁ

面談で上司に「お前は何をやりたいんだ?」と聞かれたらを読んで、「あ、そんなに穿った見方されるんだ」って思ったので、今回はこれについて。

根本的に、こっちは「なにをやりたいの?」って質問は、「分かりません」とか言われることを想定して質問していますよ。

的確に答えを出せるような人は、面談する必要なんかほとんどなくて、「あ、そうですか、じゃあ頑張ってください」って感じですぐ終わるんですね。
あとはこっちで「じゃああいつがその方向に進むんだったらこういう仕事を準備しておかないと意味が無いな」とか考えたり方々に相談するだけで、それは面談とは別の次元の話です。

面談の目的は、「会社が部下に対して描いている未来図」と「部下が描く未来図」のすりあわせです。(他にもあるけどここでは省略)
その二つに大きな齟齬があれば会社か部下に軌道修正が迫られるし、その二つが同じだったらこのまま続ければ良いって感じで。
部下が「自分がどうなりたいか」を描いていない状態であれば会社の方針に従わせれば良いのでしょうが、それで従わせた結果、「思ってたのと違う」って言われても上司としては困るので、「じゃあ、どうなりたいかを一緒に明文化しよう!」って作業がどうしても必要になります。

だから「お前はなにをやりたいんだ?」って質問に対して「じゃあ上司はなにがやりたいの?」って訊かれても、困るんですよ。
それを答えた所で、「部下がなにをやりたいのか」のヒントにならないことが多いので。
訊かれた時は、相手の位置に応じて「自分がお前ぐらいの時はもう少しPG続けていたいなぁとか思ってたけど」くらいの言い方になっちゃう。
具体的に「こういうことがしたい」とか言ってもヒントにならないし、それじゃあただの自分大好き人間でしょ。そういう人は面談じゃなくて講演をしたほうが良いです。

ということで、面談は「部下がなにをしたいのかを押さえる」「会社が何をして欲しいかを伝えて部下と会社の目標をすりあわせる」「直近の行動を決める」の3ステップでやってるんですよ。少なくとも私は。
そして多くの上司はそうやって面談していると思いますし、そういう形に落とし込めない面談はほとんど意味がないです。

「部下がなにをしたいのかを押さえる」

面談の中で一番ウェイトを占めるのがここです。
これをちゃんと決めないと、よく言われる「目標管理」も雑になるし、目標管理が雑になるっていうのは会社として成長システムを作れないってことなんですね。
なのでまぁ、探りとして「なにをやりたいの?」って質問をして、「部下がビジョンを明確に持っているか」を調べるところからスタートします。
ジャブですね、ジャブ。

大半の場合、質問してもちゃんと答えが出ないので、元の記事の通り、「じゃあなにがしたくないの?」とかそういう方向に水を向けます。

よく言われるのは「残業したくない」とかでしょうか。

もちろん、それ自体は別に構わないんですけど、IT業界における「残業したくない」って結構茨の道なんですよね。
例えばPGとして参加した場合、その時の見積を間違えればその時点で残業発生しちゃうでしょ。
「自分のミスで残業するのは良いけど、他人の尻拭いで残業するのはイヤ」とは言っても、普段からミスって残業している人の工数見積精度なんて誰が評価します?
問題発生時に「これすぐ終わらないので、ユーザーと調整してもらえますか?」って言って周囲が納得してくれるようなPGじゃないと、残業コントロールって殆どできないんですよ。
ってことで、「開発者、という立場のままで残業したくなかったら自分のスキルを的確に把握して、そのスキルを使って発言権を得るとかしないとダメじゃないかなぁ」みたいな感じで、「そのために必要なスキルは何か」を明文化していく作業を行うんですね。
もちろん、そんだけ開発できても残業が発生する可能性もありますから、その時のために、この面談以降、上司は「残業が発生しそうになったらスケジュールを見直す」とか「スケジュールが見直せなければ残業せずにすむような組立を考えなおす」とか、その辺をしなきゃいけないですけど。


他にも、「もう会計関係の保守はイヤです」とかも多いかも。
月末とか期末とかクソですもんね、会計の保守って。

その場合は、じゃあそれ以外ならなんでも良いのか? って話をしていくわけです。
結構前に「地図が妥当な日本語で書かれているか調べる」みたいな仕事があったんですよ。
詳しい話を聞く前にその仕事は蹴ったんですけど。
仮に会計がイヤな部下にその仕事を回しても、そこで得られるものとか、得たものを使うフィールドとかが、うちの会社にはまぁ間違いなく無い、って思ったので。
実際蹴ってから部下に聞いてみると「それなにが面白いんですか」とか言ってたし、蹴ったのは正解でしょう。

他にも曖昧な目標だったら、それをどんどん具体化していくような話をしていきます。
「もうちょっとユーザーと接点を持ちたい」みたいな要望であれば、「どうすれば接点を増やせるか」っていうアプローチをかけます。

まぁ、そんな感じで、「部下が具体的になにがしたいか」っていうのを面談で詰めていくわけですよ。

「会社が何をして欲しいかを伝えて部下と会社の目標をすりあわせる」

部下のプランをひと通りヒアリングして、「あれだね、最終的には販売管理とかの開発に携わりたい感じだね」という感じで目標を決めたら、そこでようやく「会社としてはなにをして欲しいか」を伝えるんですね。
「いやぁ、実は会計の保守をお願いしたかったんだけどなぁ」って感じで。

もちろんもう会計の保守はイヤって言われているので無理強いはしないのですが、かといって会社が提案しているプランと同程度に稼げそうなプランにしてくれないと会社が困るので、「開発に携わるって言ってもPGだったら継続的に仕事もらえない感じだよなぁ」ってことで、すりあわせを行なっていくんですね。
「ちょうど販売関係の案件を回している人がいたから、ダメ元でそっちにアプローチはかけてみるよ」って感じで。

そうやって色々すりあわせても、どうしても会社の方向と合わないなぁってなったら、二択ですよね。

  1. 会社が折れる
  2. 部下が折れる

会社が折れるってのは、「この部下有能だし手放したくないから、部下のキャリアプランが作れるような仕組を作るかなー」って感じ。
部下が折れるってのは、「とは言っても、こいつ販売管理の勉強してる素振りないし今の話を聞いてもとんちんかんだから当面は会計の保守させつつ、勉強してくるかを観察してみるか」って方向に持っていく感じ。

面談するってことはある程度キャリアを積んできて、給与も上がってきているわけで、その段階で「全然詳しくないけど販売管理を一から勉強させて下さい、会社の金で」ってのはまぁ厳しいんですよ。
君が稼いできてくれないとうち潰れちゃうんで。
だから、やりたいんだったら「教えてくれる人」とか「使えそうなノウハウ」は教えるので時間外なりスキマ時間なりに勉強して、それである程度会得できたら仕事回すよって感じになっちゃうんですよね。
「販売管理については新人レベルなんで給料も新人レベルにしていいよね」なんて言葉は通用しないし。
(それが通用したらブラック企業でしょうどう考えても)

あ、話がそれた。

まぁ、そんな感じで、「会社と部下の妥協点を探る」のがこのフェイズですね。

「直近の行動を決める」

で、最後にようやく、行動計画です。
まぁここまで来たら大体もう計画出来上がってるんですけど。

「ひとまず販売管理の仕事回せるように、貿易について簡単に抑えておいてね。輸出管理の仕事なら回せるわ」って感じで。
「そのためには、輸出管理詳しいのはアイツとアイツだから、ちょっとその三人で引き継ぎとか説明が出来る場を設けるわ」みたいな。
このフェイズは、本当にすぐ近くの行動だけきめて、「それで本当にそのプランに進む気があるか」を探る部分ですね。

あんまりやる気無さそうだったら、また近日中に面談やり直しになりそうです。
その時はなんかもっと偉い人を呼ばないとダメなのかなぁとか私が憂鬱になる感じ。

一緒に答えを探す気がない面談は無駄です

ということで、上司も部下も双方に言えることですが「一緒に答えを探そうとする」つもりがない面談なんて、やるだけ時間の無駄です。

そういう意図があるから、わかりやすく、「何かやりたいことある?」とか「じゃあ、コレまでの仕事でいやだったこととか、良かったこととかある?」とか聞いているつもりなのですが、どうにも、上司っていう立場上、邪推されるんだなぁ、と思ったのでした。

あ、ちなみにこれは面談の話ですよ。
面接とかで「弊社に入ったら何がしたいですか?」って質問する人は死ねば良いと思います。
上に書いてある通りこういうのは「お互いに話し合って答えを探すもの」なので面接の場で聞いてもどうしようもないですから。