お仕事でやる会議の三分類

そもそも会議にはいくつか種類がある

仕事をしていて良く思うのですが、「会議慣れしてないなぁ」って人が結構居ます。
全く発言しない、とかもまぁアレな感じですが、それ以上に、「自分が求められている立ち位置」を見間違えている人が多い、と言った方が適切かもしれません。

大体、会議というものは、何らかの「型」を持っていることが大半です。
この「型」を見逃してしまっていると、なんか会議として全体のしまりのなさが目立つんですよね。

ということで、今回は、会議の三分類についてです。
予め断っておきますが、この分類はあくまで私の経験則に基づくものであって、特に参考文献とかありませんよ。

会議を構成する二つの役目

会議を3つに分類するにあたって、会議の出席者には二つの役割に切り分けることができます。
この役割の構成で分類するんですね。

話者:会議の舵を取る人

会議の舵を取る人を、ここでは「話者」と位置づけます。
例えば講演会で人の前に立っている人が話者、という立ち位置ですね。

話者の特徴は、「会議に出席する時点で、既に話すことの大半を決めている」事にあります。
この準備を入念に行うことで、話者は会議の場で舵取りに専念できるようになるわけですね。

反応者:会議の海を泳ぐ人

話者の反対はまぁ聴者になるのでしょうが、「聞き手」は会議の場には基本的には不要です。
話者の言葉に対して「反応を返す」ことが反応者の役目ですね。

反応者のポイントは、「会議の場で出たキーワードに対して、何らかの反応を返す」ことです。
耳を傾けるのは話者の言葉に対してが重要で、その会議の外側にあるような話題に対して手を出すと大体会議が迷走します。

出席者の構成比から見た会議の3分類

上記二つの役割は、会議での振る舞いの基本スタンスになります。
次に、会議の場で、周囲を見渡してみてください。
話者と反応者の構成比で、大体会議は3つに分類されます。

プレゼンテーション: 話者1名に対し、反応者が複数

コアとなる話者は一人だけで、その人主となって色々資料を準備したり話を組み立てたりする会議を、ここでは「プレゼンテーション」と呼びます。
会議と言いながら、一方的に誰かが話すことが多く、基本的には「話者がこれまで組み立ててきたものを全員で共有する」ことが主軸にあります。
ITで業界で良くあるのは「成果物レビュー」なんかが当たりますね。

この形式の会議が成功するには、それぞれ以下のような心構えが必要です。

話者に必要な心構え:
 自分以外が全員反応者に当たるため、その人達全員に対して伝わるように、かなり細かい準備が必要です。
 また、多くの場合、この会議は「反応者全員に対して何かを依頼する」か「話者がこの結果を踏まえて次のステップに進む」ためのものです。
 いずれにせよ、ここで話者の準備が不足している場合、自分の作業が不明瞭になったり、依頼した作業が適切に完了しなかったりするため、注意が必要です。
 
反応者に必要な心構え:
 話者が一人だけなので、その人が今から伝えたいことが何かを理解し、その「何か」に沿った反応を返すことが求められます。
 話者の考えを根本から覆すようなことを発言してしまうと、会議として成立しなくなってしまいます。
 そのような発言をする場合は、「会議を中断すること(=話者に再度準備をしてもらうこと)」を含めた提案をする必要があります。
 また、反応者同士での会話が発生した場合も、必ず「話者に伝わる形で」会話をしなければ、プレゼンテーション型の会議は崩壊します。

セレモニー:反応者1名に対し、話者が複数

「プレゼンテーション」とは逆の構成です。
こちらも話者が一方的に話す(もとい反応者が反応をしない)展開になりやすいという点ではプレゼンテーションに近いのですが、この場合のポイントは「反応者の発言力が圧倒的に高い」ことにあります。
セレモニーと呼んだのはそういう理由で、「偉い人が最終的にOKを言うための儀式」であることが多いです。
ITで業界で良くあるのは「導入判定会議(と言いつつもやる前から結果がわかってる系)」なんかが当たりますね。
あるいは、「進捗報告会」なんかもそれに近いです。

話者に必要な心構え:
 反応者の発言力や地位が高い事が多く、また、話者が複数いるため、個々の話者が話す時間は非常に限られます。
 従って、資料を細かくつくり上げるよりも、「どの情報を伝え、どの情報を伝えないか」の選択が最も重要になります。
 話者同士の情報共有は他のタイミングでもできる(後述のディスカッション)のですから、ここで意識すべきは「反応者にどう伝えるか」です。
 
反応者に必要な心構え:
 反応者が一名である以上、殆どの場合、反応が間に合いません。
 会議に臨む前に、「全体を通じてどこに目を向けるか?」を予め考慮しておく必要があります。
 また、その他にも、話者同士の「矛盾」や「ズレ」がないか、を探りながら話を聞きましょう。
 この会議の形式では、多くの場合、「反応者が責任を取る」事が多いです。しっかりと把握するように努めましょう。

ディスカッション:すべての人が話者であり反応者である

ここまでの二つは話者と反応者が明確に切り分けられていました。
最後の一つはその関係が曖昧なものです。
「ディスカッション」の場では、全ての出席者が同一のテーマに対して準備し、反応を返すことで成り立ちます。
いわゆる「会議」と言われて想像するのがこの会議になるでしょうか。

すべての人が話者であり反応者とならなければ、上記のセレモニーやプレゼンテーションの形に、会議が変貌してしまいます。
例えば、自分の考えをひたすら話し続ける「話者」が一人でもいれば、その瞬間に「その人の考えをプレゼンテーションする場」となり、ディスカッションが成立しません。
例えば、他人の考えに対して反応を返すだけの「反応者」がいれば、「次にどういう答えを導くか」の部分で大きく時間をロスしてしまいます。

出席者の心構え:
 すべての人が話者であるため、会議に挑む前に「何を話すか」「どの立場を取るか」などの準備をしっかりとしましょう。
 もちろん、準備をしても、その準備にこだわらず、「相手の言葉を受けて、自分の考えはどう変わるか、自分の視点からはどう見えるか」の反応を返すことを忘れては行けません。
 話者、反応者、いずれか一方だけの立場から参加してしまうと、それは「ディスカッション」ではなくなります。

まずは、会議がどんなものか? をしっかりと見極めることが大切

会議に参加する時に、これから行われる会議がどの形式になるのかを考えてから参加して下さい。
「反応者ばかりのディスカッション」だったり、「話者が準備できていないプレゼンテーション」だったりしませんか?
大体そういう会議で決まったものは、後になって問題が見つかったり、参加するだけ時間の無駄になったりするんです。

まずは、「どういう会議にすべきか?」を考え、その上で「自分は話者なのか反応者なのか」を見極めるようにしましょう。

ちなみに

話者、反応者がそれぞれ1人の場合、それはインタビューとなります。
つまり、会議じゃないです。